古い冊子(古文書)の虫食い穴の修理風景。ここで行っているのは『漉き填め』【すきばめ】と呼ばれる方法で、紙繊維を水中に分散させた液体(紙漉に用いる材料とほぼ同じ様な物)を吸引、もしくは水圧によって虫食坑に流し込み、欠失した部分を補う。この修復方法は、1956年にソ連のユリアP・ニュクシャによって開発され、その後、ヨーロッパ各地で開発が進んだ。冊子になった資料の虫食い損傷など、大量の欠損を効率よく補うのに有効な処置で、なお、技術によってはもとの資料の風合いを替えずに修復ができる利点がある。写真中の資料の白濁して見える部分が漉き填め処置によって虫食い穴が充填された部分。