
冊子状に製本された浮世絵版画。表紙の裏に貼付された作品を分離しているところ。
錦絵、浮世絵などと称される日本の伝統的な多色刷り木版画は、絵の具の定着力がとても弱く(接着剤がほとんどはいっていない)水分に脆弱。一方、製本された作品は、水溶性の澱粉糊が使われているので、分離作業には古い糊を柔らかくする『水分』が必要という難題がある。そこで、こうした作業には熱した水蒸気をうまく利用して、絵の具を溶かさずに糊だけ緩めて作業を進める。写真右下に見えるオレンジ色のノズルからは、超音波加湿器によってつくられたごく微細な水蒸気が暖められて出ており、作品を分離する為に必要かつ最小限の水分を与えることができる。