極度に細かい作業や、緊張を必要とする作業中に音楽を聴くということはしないが、単純な作業や、繰り返し同じことを続けるような作業中は音楽を流していることも多い。気分を変えてアップテンポの曲や、時にロックを聞きながらということもあるが、基本的には静かなクラシックやジャズを流す。クラシック曲の中でよく聞くのはグレン・グルード(pf)の弾くゴルドベルク変奏曲。友人の中にもこのCDを愛聴する者がいるが、グールドの絶対的なテクニック、濃密、精緻な演奏は圧巻だ。仕事にさえ集中できていれば、淡々と流れてゆく感じのこの曲は単純作業をしているときに良い。けれど、油断をしていると、ついつい聞き入ってしまうから注意をしなければならない(そんなときはいっそ手を止めて聞き入るか、CDを止める)。何でも、この曲は不眠症に悩む伯爵のために演奏されたという逸話があるが、このCDを聴いている限り、仕事中に眠気を催したことはない(苦笑)。
このCD。知っている人も多いと思うが、大きな音で聞いてみると、かすかに彼のハミングが聞こえてくる。演奏しながら、彼は気持ちよく(たぶん)歌っている。
◎J.S.バッハ:ゴールドベルク変奏曲 BWV988 / 演奏:グレン・グールド / CBSソニー22DC5543