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書籍・雑誌

2010年7月 5日 (月)

捨てる『紙』あれば拾う『紙』あり

毎日大量に印刷、発行される新聞は、一般家庭であれば、ひと月ほどまとめてはチリ紙交換に出すか、適当に捨ててしてしまう事がほとんどかと思う。しかし、この一方で、新聞はどんなものであれ、私たちの日々の生活にまつわる記事や、世界の情報を記した歴史的、文化的資料としての価値も高いので、図書館や公文書館など、公共の諸機関ではながく保存、管理に努めてきた。
それでも新聞の保存は実に厄介である。新聞紙自体、広げれば結構な大きさになるし、毎日、何年も集めていくと、とても大きな保管場所が必要になる。もともと粗悪な材料で出来ているし、薄くて破れやすく、保存性能もとても悪いため、これまでの保管には、主にマイクロフィルムなど(現在ではデジタル機器の応用も進められている)、ほかの便利な記録メディアに情報を写し取る代替方法が取られ、やはり本体は捨ててしまっていたのが事実。
こんな状況、事情の中で、ドイツ(ライプチヒ)では、1997年に特に貴重な新聞をそのまま残す方法を開発した。ウェヒターと言う人が考えたこの方法は、薄い新聞紙の表裏を(紙の厚さの方向に)二つに引き剥がして、間に薄い紙を一枚挟んで接着、補強して保存するもので、現在では作業を機械化し、大量の新聞の処置を進めている。

◎相剝ぎ【あいへぎ】
一枚の紙を表裏二つに裂く方法を日本では『相剝ぎ【あいへぎ】』とよび、かつては、厚くて硬い紙に描かれた作品を掛け軸や巻物にする(巻きやすくする)ため、紙を薄くする技術として利用されたことがあり(現在では破壊行為として見られる)、中には剥がした裏側の紙にしみ込んだ文字や絵に手を加え、複製、偽造の手段として応用した者もいた。組成によって表裏を分離しやすい構造の紙もあるにはあるが、複雑に繊維が絡み合って一枚の紙となった物を、均一に二枚に分離することは不可能だと言っても過言ではないし、大胆?かつ、リスキーな処置と思う。