先日、京王線の高幡不動で開催される『高幡不動ござれ市』がテレビで紹介されていた。この市には使われなくなった日用品、骨董品をはじめ、ジャンク品(簡単に、家電製品やカメラ、時計など壊れて使えなくなった道具など)やくず鉄の様な金属なども売る露店が並ぶという。きっと誰もが燃えない(?)ゴミとして捨ててしまうジャンク品は、それ自体では何の役にも立たない代物だが、バラバラにすれば、今はもう部品の製造も止まってしまい、修理出来ない道具や機械の修理部品として活用することが出来るし、世の中にはこういったジャンク品を探しまわっている人もいると聞く。大きくなれば、しかるべき施設にお金を払って処分してもらわなければならず、簡単に捨てる事もできない厄介な金属も、現代アートの素材として購入する人がいるそうだ。
ずいぶん前に、青山の本田技研本社で開催された篠原勝之(通称クマさん)の『鉄』を素材にした展覧会を思い出す。会場にところ狭しと並ぶ作品の存在感に圧倒されたのを覚えているが、たしか、彼もまた、鉄材を使う工場などから、廃材などをを集めて作品を制作していたと思う。捨てる者あれば拾う者あり。ゴミから何かを想起、想像し、創造できる人のすばらしさかと思う。ちなみに、『高幡不動ござれ市』は日用品から骨董品まで、なんでも『ござれ』という意味だそうだ。買う人もいろいろでゴザル。
◎高幡不動ござれ市 <http://www.kanagawa-antique.com/html/takahata.html>
◎篠原 勝之(しのはら かつゆき )芸術家、タレント。愛称は「クマさん」。北海道札幌市生まれ、1970年代は唐十郎主宰の『状況劇場』の美術としてポースターなど制作。近年は鉄、ガラスを使った作品を制作。文筆活動もしている。クマスファクトリー所属。<http://www.kuma-3.com/>