屏風の内側
伝統的な工法によって制作される屏風は、障子の骨組のような細い角材を格子状に組み上げたもの(下骨【したほね】とか下地【したじ】とか呼ぶ)をベースにして、この表裏にいろいろな方法で6〜7層ほど和紙を貼り重ね(ただベタベタと糊付けするのではない)、和紙で作ったの蝶番を取り付けて開閉できるようにしたパネル状のもので、かつては室内の間仕切りなどにも利用された歴史を持つ。屏風の表面には茶事用に無地の鳥の子紙を貼ったものや、祝い事用に金箔を貼ったもの、絵画を貼ったりするなど、必ず美しく仕上げるが、屏風の内部は人が目にすることのない部分となるためか、下張りに安価な雑紙や再生紙を用いたり、手を抜いて作業工程を省略しているものが結構多い。
古い屏風を解体すると、昔の墨書きの帳簿紙や樹皮の多く混じった雑紙が現れてくることが多い。今回解体した屏風の裏面には、以前に現在とは異なった紙が貼られていたようで、この紙を剥がさず、そのまま下張りを重ね、新しい唐紙を貼った模様。この施工の際に所々穴が空いていたか、襖紙の切れ端などで簡単な補修が施されていた。
古い和紙(使い古しでも)は品質が良く、下張り紙に適していると言う人もいるようであるが、貴重な作品の修復、屏風装幀には、私の知る限り古紙や再生紙が使われることはないものと思われる(わざわざ古紙を使用する必要はないものと思う)。