次の仕事
今月から、大小合わせて30点あまりの書画を処置する。いずれの作品も近年額装丁された比較的新しいものだが、額材や接着剤による汚染が見られたり、不良な処置が施されていた(あるいは必要な処置をしないで額装丁されていた)ため、 すべての作品を旧額から分離し、古い装丁材料や裏打ち紙を取り除き、洗浄など然るべき処置を施す。これらの額は皆、木枠の表裏にベニヤ板を張ったパネルを主要構造としており、このベニヤ板などから発生するガス(ホルムアルデヒドなど、人体にも悪影響を及ぼす物質)の影響もあったかと思う。作品にはすべて裏打ちが施されているが、中国式の物で、紙も接着剤も日本で使用してきたものとは異なり、事前に十分な調査やテストが必要になる。以前に同様のものを処置した経験はあるが、私たちが預かるものはすべて、経年の状態も、これまでの利用経緯も異なっているため、いつも『未知のもの』と考えて慎重を期す。
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