今日の工房
4月から2点の大きな絵画作品の修復作業を続けている。この作品は、5代目鳥居清忠の絵画作品で、歌舞伎の興行に用いられたものと思われる肉筆の絵看板。ちょうど手描きのポスターのようなもの。今回の修復以前には二曲一隻の屏風に装幀され、個人所有の絵画として利用されていた模様。
屏風は閉じてしまっておくと、絵画が外界に曝されないので、比較的良い状態で保存されていることが少なくはないが、保管場所が悪ければカビや害虫の被害も被る。この作品は、長く展示利用もされていた様子で、表面を払拭すると結構な汚れが付着していることが分かり、保管場所に雨漏りなどあったか、絵画の上部には冠水跡を示す輪ジミが認められた。
大きな作品を預かると工房を占有してしまうようになり、取り扱うのも一苦労で、他の仕事を並行して行うことも難しくなるが、基本的な処置を終えて一安心の今日この頃。