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2018年5月

2018年5月30日 (水)

岡田親 錦絵展

6月8日より、銀座伊東屋で岡田親さんの錦絵展がはじまります。

2018
2018年6月8日(金曜日)より6月17日(日曜日)
於:銀座伊東屋B1F  !nspiration Hall

2018年5月15日 (火)

正麩糊(しょうふのり)を使う

薄い紙や絹織物に描かれた伝統的な絵画を修復する際、裏打ちによる補強を施す際、額装幀、掛軸装幀、屏風装幀など、表装作業にも正麩糊(しょうふのり)が欠かせない。正麩糊は小麦粉から抽出したでんぷんを煮溶かしたものだが、高い接着力があり、長い経年を経ても接着物を汚染させたりせず、経年によりその接着力こそ低下はするが、水を加えることで容易に溶解が出来ることから、必要に応じて接着剤を溶かし、古い表装材料や裏打紙も安全に取り除くことができる。この高い性能、安全性と可逆性が評価され、日本では国宝や指定文化財の修復現場で、そして今日では諸外国の主要な修復機関でも利用されている。

この正麩糊、もちろんデメリットもある。天然由来のでんぷんが材料であるだけに、煮溶かした糊は容易に黴が生える。冬の寒い日でもせいぜい10日ほど、夏は常温下に放置しておくと1週間ももたないので、使う時に、使う分量だけに溶かして使わなければならないし、自ずと作業も計画的に進めなければならなくなる。煮溶かした正麩糊は、通常一昼夜ほど置いて使うが、使う際には裏ごしを丁寧に掛けてダマを取り除き、水を加えて調整しなければならない。

この正麩糊に対して、昭和30年代頃に『化学糊【かがくのり】』などと呼ばれる合成接着剤が開発され、その利便性(腐敗しにくく、煮溶かす手間もなく、そのまま常温の水で溶かして使うことが出来る)から表具師の間で絶賛され、瞬く間に正麩糊の利用者が激減した。

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2018年5月10日 (木)

サクションテーブルを使った水洗

先週から、薄手の紙に描かれた絵画の水性洗浄処置をおこなっている。洗浄処置の方法は色々あるが、今回はサクションテーブルを使った洗浄処置をおこなう。

サクションテーブルは天板に細かい穴がたくさんあり、大型のバキュームクリーナーを接続して使用する吸引装置。この上に敷き紙、作品、養生紙(不織布)の順に重ね、上から精製水、または純水などをスプレーし、溶け出した汚染物質を水ごと強制的に吸引除去する。この装置を使うメリットは、短時間で画用紙の芯部まで洗浄液を染み込ませ、さらに一気に吸収出来ること。一方、この装置を使うデメリットもあって、上に置いた作品が装置の利用中、ちょうどエアコンなどに使われるフィルターのような状態になり、大気中に浮遊している細かな塵や埃などを吸着させてしまう点。このことを避けるため、作業環境を整えることはもちろんであるが、作業は出来るだけ短時間でおこない、部分的な処置が出来る場合は処置部以外をカバー(フィルムなどで覆う)したり、作品上に紙や不織布などを置いて、直接作品に大気が触れないように(作品を覆った紙や布に塵埃を吸着させるように)する。もちろん、水分を使うからには、描画材料が水に溶けないことは必須条件となり、事前の調査は十分におこなわなければならない。

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