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2017年7月

2017年7月27日 (木)

作品を分離する

厚い台紙に貼られた絵画作品の分離作業。この作品はもともと画帖(折り本。御朱印帳のような形態の本)の装幀形態となっていたもので、水墨画を描いた料紙が添付されていたが、本の内部に黴が発生したため、作品本紙を分離する事となった。

作品を固定する台紙は厚く、固く、一方の添付された作品は薄くやわらかい。伝統的な工法で作品が裏打ちがされている場合は、背面から水分を与える事で接着剤は緩み、裏打ち紙を取り除く事が出来るのだが、このように厚く、固い紙が作品背面に固定されている場合は、作品の分離が困難になる事が多い。裏面の紙は繊維の密度も高く、簡単に水が浸透しないので、水にアルコールを混ぜ、浸透を促すなど工夫が必要になる。

作品を痛めぬように少しずつ、慎重に背面の紙繊維を取り除いてゆく作業は、小さな作品でも結構な時間が必要となり骨が折れる。

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つい先日まで、うだるような暑さが続いていた東京だが、ここ数日は曇空が続き、何やら不順な天候のこの夏。

どうぞ皆様ご自愛ください。

2017年7月 5日 (水)

ゼオライト不織布

掛軸を箱に収納する際、従来は羽二重折りの絹布や和紙で包んで納めていた。いずれの材料も適度に湿気を吸収する緩衝材として、あるいは箱の木材より発生するガスや灰汁、ヤニなどから保護する(直接触れさせないようにする)目的から使用してきたが、最近はゼオライトと呼ばれる鉱物が配合された不織布を使うようにしている。このゼオライトは、日本では沸石【ふっせき】と呼ばれ、活性炭のように結晶構造中にたくさんの空隙を持っており、ガスや匂いを吸着する高い性能を備えている。

掛軸装幀時に使用する和紙や糊は、独特な匂いのあるものもあるが、この不織布でしばらく包んでおくと、ほとんど知覚出来ないくらいになる。

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◎この布は薄くてしなやかなので、容積に余裕がある場合、空間がある場合は

額の内部に挿入することもできる。

商品名 "Gas Q" 株式会社 資料保存機材 < http://www.hozon.co.j >より購入できます。

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