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2017年4月

2017年4月13日 (木)

紙筒を使った掛軸

大きな絵画作品を掛軸に装幀する際、用紙が厚かったり、絵具の層が厚くて巻きにくい様な場合は、巻き芯を太くすることで収納時のストレスを小さくし、折れたり、巻き癖がつくことも回避出来る。通常は『太巻き添え軸』というアタッチメントを使い、軸棒に被せて巻いて収納するが、大きな作品になるとそれなりの重量になるし、制作費用も収納箱と合わせるとかなりの高額になる。

作品の様式や、掛軸の大きさによってはバランスが悪くなることもあるが、大きな掛軸には紙製の筒を掛軸の軸棒として使うことがある。この筒は中性の紙を積層させたものだが、精密にできていて反りやゆがみも無く、 硬くて強度も十分。さらに軽いので、掛軸を吊るして展示した時の負荷も小さくて良い。収納時にはおなじような中性紙でできた段ボール箱を利用すれば、全体の制作費用も安価で済ませることができる。
Papersylinder
Papersylinder2
この紙筒には専用の軸先を取り付ける。この軸先は桐材製で、特別に制作してもらったもの。

2017年4月 6日 (木)

ブックマット装幀 

今週は絵画作品のマット装幀作業を進めている。マット装幀とは、積層させた厚手の硬い紙に作品を挟み、画面側に窓を開けたもの。この状態で額装幀することもできるし、このまま保管したり展示したりすることもできる。

薄手の紙に描かれた絵画や版画作品、 経年によって劣化、脆弱化した作品や資料は、マット装幀することで直接接触せずに取り扱うことができて安心。マット用紙も酸性物質や不純物を含まない安全なものを使うことで保存性能が向上する。
Mat000_3
Mat001_4
Mat002_3
Mat003_2
◎写真のマット装幀は『ブックマット』と呼ばれる仕様。
作品の大きさ(有効画面)にくり抜いたウインドウマットと、
作品背面にあてがうバックボードの一辺にヒンジを取り付け、
本のように開閉ができるようにしたもの。
このようなマット装丁は作品本体へのアクセスも容易で、
作品の固定方法によって背面の観察も出来る。

マットカッターは市販のカッターと自家製の定規を組み合わせた
ものだが、高い精度で裁断、くり抜き加工ができる。

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