大きな掛軸
年に数回、結構な大きさの掛軸の修理を依頼される。高さ(長さ)もさることながら、掛軸は幅が大きくなると完成後の取扱いも難しくなる。自分の腕の長さを超えてしまうと一人では取り扱えなくなるし、修理後の展示も収納も一苦労。もちろん、修理中の取扱いもなにかと苦労が多い。
◎高さ(長さ)2m60cmx幅1m20cmの掛軸。一般に多く見る掛軸のおよそ3〜4倍の大きさになるかと思う。写真の状態は裏打ちした作品と表装裂地をつなげた状態(裏面)。仕上げた状態はこれから少しばかり小さくなるが、この段階では作業台いっぱいの大きさになった。
これから全体に裏打ちをおこなって仮張(【かりばり】前述を参照ください)に張り込んで乾燥させ、乾燥後に寸法を決めて周囲を整えた後、最終的な裏打ちをおこなう。
はじめの裏打ちから最終裏打ちまで、作品の肌裏打【はだうらうち】、表装裂地の肌裏打、作品の増裏打【ましうらうち】、表装裂地の増裏打、掛軸の形に作品と表装裂地を接合の上全体に中裏打【なかうらうち】、最終裏打ちとして総裏打【そううらうち】と計6回、全体には4層ほどの裏打ちを施し、裏打ちごとに仮張に固定して乾燥させる作業を繰り返す。
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