仮張【かりばり】
毎年末から年始の時期は、3月末のいわゆる『年度末』までの返却が求められる修復の仕事が多くなる。いつもこの時期はとても忙しくなるのだけれど、今年は比較的小さな作品が多かったので、いつもより少し早めに大きなヤマも越えて、無事に約束の期限までに返却出来るメドもついてきた。ほっと一息の今日この頃。
◎写真は仮張【かりばり】というパネルに裏打ちした作品を貼付けて乾燥させている状態。仮張【かりばり】とは、障子の様な木軸の骨組みに和紙を貼り重ねたパネル(縁のない襖の様なもの)の表面に柿渋【かきしぶ】を塗布したもの。または、乾燥の為に裏打ちした作品や掛軸などを張り込む作業。
掛軸や巻き物は通常、肌裏打【はだうらうち】、増裏打【ましうらうち】、中裏打【なかうらうち 】、総裏打【そううらうち】と作品の厚さや状態にあわせて、背面に薄い和紙を数層糊付けする。そしてこの和紙を糊付けする度に仮張に周囲を糊付けして固定し、乾燥させることを繰り返す。