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2016年6月20日 (月)

色紙の修復

絵を描いたり、サインをもらったり、詩歌の揮毫に用いる色紙(短冊)は、表面の料紙と台紙(厚紙)、背面の化粧紙(砂子などの装飾があることも多い)の3層からなっている。しっかりとした強度と厚さを作る色紙の芯となる台紙材料には、再生した雑紙、繊維くずを利用したものがほとんどで、ルーペなどで観察すると、まれに新聞や雑誌などの印字、包装紙などと思しき色のついた破片が認められる。このような紙材には不純物が多く含まれており、経年を経ると変質、変色し、後に表裏の用紙に影響を及ぼすことが多い。

このような問題を抱えた色紙も、原則的にはオリジナルの構造、材料としてすべて保存、維持するように努める。しかし、台紙材料が表面に接着された作品(料紙)に著しい障害を与えていたり、残存させることによって、作品を保持することが危ぶまれると判断された場合は取り除くこともある。

およそすべての色紙は、将来修理したり、台紙を剥がし取ったりするこも、もちろん考慮して製造されていないから、台紙は表面の料紙にしっかりとくっついていて、剥がしとることは容易ではない。除去するためには台紙材に水分を含ませ膨潤させて、本紙を傷つけないよう慎重に、ピンセットで少しずつ台紙繊維をつまみ取ってゆく。

台紙を取り除いた作品(料紙)は、洗浄など必要な処置の後、安全な材料を使ってもとの色紙の形態に戻したり、裏打ちするなどして補強するが、接着剤や施工法を工夫して、将来の再修理にも備えておく。

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◎作品の表面には色紙の影響による変色が見られたため、台紙材料を除去した。この後、作品本紙は洗浄処置をおこなう。

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