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2016年4月23日 (土)

床の間の取り扱い方

床の間は書画を飾るスペースとして 発展し、利用されてきた。  最近はいっそう生活様式が西洋化して、建築の事情も変わり、床の間も和室さえもない家屋が増えているようだ。 いずれは、限られたところでしか見ることのできないモノとなる床の間なのかもしれない。
建築条件や地域によって寸法と様式は異なるが、床の間は和室の隅に設置し、室内の床【ゆか】レベルよりも 柱1本分ほど高く床をつくり、壁面よりも畳一畳分ほど奥に壁面をつくる。また、床の間の上方、前面には、室内の壁面と同じレベルの壁を天井から鴨居のあたりまで下ろして取り付ける(取り付けない様式もある)。
この構造からも、床の間は扉のない押し入れの様に つくられており、構造的に風通しが悪く、空気が滞留 しやすい。これに加えて、床の間の壁面に塗布される土壁には、滞留した空気中の湿気を吸収し、メリットと考えれば室内の湿度調整の役割も果たすが、帯びた湿気は黴害を誘発する。
壁面が帯湿した床の間に長く掛軸を掛け続ければ、あっという間に黴が発生する。掛けられた掛軸と壁面の間にはわずかな空間しかなく、壁に発生した黴はいずれ掛軸の背面に転移し、そのまま放置していても、あるいは。そんなことをつゆ知らずに巻いて箱の中に納めておけば、 今度は掛軸が黴の温床となってしまう。 実際に、こういった症例はとても多い。
こんな事態を避けるためには、まず、床の間に掛軸を掛けっぱなしにするのはやめよう。 春先や秋口あたり、ちょうど空気が乾燥する時期に床の間に風を通すとよいだろう。 エアコンや扇風機など利用して、床の間のある室内全体の空気を循環させ、乾かせるの もよいかと思う。 床の間の壁面はザラザラとして、埃(これも黴の温床になる)も付着しやすいので、吸引口に先の柔らかい 刷毛を取り付けて、電気掃除機で掃除するのも良い(壁面を傷付けない様に注意する)。 もし、壁面に肉眼で確認出来る様な黴害が発生していた場合は、ぜひ専門家に頼んで消毒してもらいたい(肉眼で確認出来る状態は重篤と考えたい)。
往古の人たちは季節ごとに、その季節を感じさせる様な書画を架け替えていた。現代社会では床の間文化を楽しむことも、なかなか難しいのだろうと思う。
Tokonoma

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