« 2015年7月 | トップページ | 2015年10月 »
浮世絵のコレクターのなかには、たくさん集めた作品を一度に鑑賞出来る様に、冊子状に束ねることがあった。たくさんの作品を束ねておけば、保管にも便利と考えたのかもしれない。けれど、浮世絵を冊子にすると、もともと定着力の乏しい絵の具が接触するほかの作品へ滲んで移動したり、利用する度に、頁をめくる度に綴じてある辺りや小口が痛む。冊子にするためには多くの場合、作品2点を背中合わせにし、小口や綴じる部分を袋状に糊付けしたり、あるいはべったりと貼り合わせたりすることもあって、このとき使う接着剤の水分がまた絵の具を滲ませ、ほかの部分へ転移させてしまう。
現在では、冊子にされた浮世絵は解装し、一枚一枚に作品を分離する(もとの一枚物の作品として復帰させる)ことが多い。