シミをのぞいてみる
写真は冠水した屏風。もともと埃など堆積していた様子で、屏風の表面に貼られた用紙の染料とともに汚れも流れ出し、醜いシミとなってしまった。このような事故が発生した場合、何もせずに放置しておくと黴が発生して、さらに大きな被害となるので注意が必要だ。
シミになった部分を顕微鏡で観察すると、黴の胞子やその死骸が確認されることがある。黴が発生するとこの胞子を餌とするダニなどの害虫もやってくる。
通常の室内空気には、多いときで数千個に及ぶ黴が浮遊しているといわれる。黴はガラスやプラスチックなど、無機物の上にも繁殖する。壁にかけたまま、長く放置している額があったら、一度ガラスを観察してみよう。ガラスに斑点状の曇り、影の様なものが見えたら黴の発生が疑われる。床の間の壁は帯湿しやすいので、長期間掛けられた掛軸も、背面から黴が発生しやすい
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