屏風の黴(びょうぶのかび)
屏風は蝶番の部分から折り畳んで収納する。折り畳んでも結構な大きさになるから、一般の家庭ならば納戸や物置、ウォーキングクローゼットの様な場所に立てかけてしまっておくのが通例かと思うが、たいていはどの収納場所も家の隅(あるいは環境の良くない場所=良いところは住空間になるから)に設置されて風通しが悪く、湿度のたまりやすい場所も少なくないだろう。
寒い冬の時期は風通しが悪いと結露しやすく、木と紙を貼り合わせた(障子の骨の様な格子材を土台にして和紙を貼り重ね、その上に絵画や表装裂地を張り込む)様な屏風はけっこう帯湿しやすい。湿気を含んだ空気は重いので、床あたりにたまりやすく、こんな場所に長く放置しておくと、写真の様に屏風の下の方に黴が発生する。専門家でなくともできる簡単な予防方法としては、定期的に屏風を開いて目通し(観察)、風通し(乾燥している日、場所で新鮮な空気を当てる)をするのが良い。紙や布で包んだり箱にしまっておく(緩衝材となる)のも良いが、この包みや箱も湿気を帯びるので注意が必要。保護袋や収納箱が変色などしていたら、思い切って新しい物と交換してほしい。もちろん、作品に黴が発生したら専門家を訪ねてほしい。