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2013年7月19日 (金)

崩落を防ぐ

膠【にかわ】は動物性のタンパク質、近頃はお肌にも良いとされているコラーゲン。もとは牛や鹿、ウサギ、魚(チョウザメから採取したものはとても高価)などの皮を煮て(だから『にかわ』とよぶ)抽出した天然由来の高分子。世界中で古くから接着剤として利用されてきた。膠は顔料(絵の具)の接着剤、固化材(日本では専門的に展色剤【てんしょくざい】とよぶ)としても利用され、とくに日本、東洋の絵画ではよく使われる。

その耐用年数は利用や保管の状態によっても変化するが、膠は経年によって自然に劣化し、その接着力も次第に衰えてゆく。とくに厚く盛り上げた様な描画部は、接着力を失うとちょっとした摩擦や衝撃で顔料が剥がれ落ちるようになり、放置をしておけばいつか大きな損壊に至ることは避けられない。

Img_1728

剥離を始めた部分には濃度や接着力を調整した膠を塗布したり、しみ込ませたりする。膠は冷えるとゼリー状になって固まるが、気温の高いこの時期はうまく固化しないため、作業開始時から膠が十分に固化するまで、工房内の室温を(快適とはいえない温度まで)下げる必要がある。

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保存修復」カテゴリの記事

コメント

初めまして。
絵画修復師に興味を持っている短大生です。
いくつかの記事を拝見させていただきました。
私はイタリアの専門学校で約1年、修復技術について学ぼうか迷っています。
就職については需要が少ない、ということはわかっていますが、絵に対する思いが止みません。
未だになにも絵について学んだことがありませんが、そのような者でも技術を身につければ職に就くことは可能なのでしょうか。
唐突ではありますが、何も情報がなく不安なため、
質問にお答えいただけると嬉しいです。

コメント有り難うございます。
毎年のようにあなたの様な学生からご質問を頂戴しますが、確かに言えるだろうことは、すべてはあなたの意思(情熱?)と、努力次第。ということです。
確かにこの世界において、とくに日本国内では、絵画をふくめて文化財と呼ばれる物の修復需要は多くありませんので、おのずとそこに必要とされる修復家も限られるのだと思います。でも、昨今の経済状況を見れば、どんな業界であれ、就職の困難さは変わらないでしょう。しかも、たぶん現在あなたが想像する以上に、たくさんの知識と、技術と、経験を要する修復の世界ですから、もしこの世界に入りたいと願うならば、今からすぐにでも勉強をはじめることが望まれます。生半可な気持ちで臨んでも、とうてい就職など出来るものではないでしょう。
昨今は、急速な科学技術の発展で、修復現場も様変わりしつつあります。新しい知識と技術は常に求められていて、あなたたちの様な若い学生こそがしっかりと学び、この業界に新風を巻き起こしてほしいと思います。

返信ありがとうございます。
私が思っているよりも、修復家を目指している方は多いのですね。
おっしゃる通りだと思います。本気でやろうと思うなら、すぐにでも始めなければいけないですね。
夏休みは修復についての知識を深めるための勉強をしようと思います。
科学で修復されてしまう時代がきているというのは驚きました。でも、そういうものに負けてられないなと思います。
一生懸命やってみようと思います。
お忙しい中、ありがとうございました。

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