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2013年7月

2013年7月19日 (金)

崩落を防ぐ

膠【にかわ】は動物性のタンパク質、近頃はお肌にも良いとされているコラーゲン。もとは牛や鹿、ウサギ、魚(チョウザメから採取したものはとても高価)などの皮を煮て(だから『にかわ』とよぶ)抽出した天然由来の高分子。世界中で古くから接着剤として利用されてきた。膠は顔料(絵の具)の接着剤、固化材(日本では専門的に展色剤【てんしょくざい】とよぶ)としても利用され、とくに日本、東洋の絵画ではよく使われる。

その耐用年数は利用や保管の状態によっても変化するが、膠は経年によって自然に劣化し、その接着力も次第に衰えてゆく。とくに厚く盛り上げた様な描画部は、接着力を失うとちょっとした摩擦や衝撃で顔料が剥がれ落ちるようになり、放置をしておけばいつか大きな損壊に至ることは避けられない。

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剥離を始めた部分には濃度や接着力を調整した膠を塗布したり、しみ込ませたりする。膠は冷えるとゼリー状になって固まるが、気温の高いこの時期はうまく固化しないため、作業開始時から膠が十分に固化するまで、工房内の室温を(快適とはいえない温度まで)下げる必要がある。

2013年7月 4日 (木)

はさんで守る

痛んだり、脆くなって取り扱いが難しい資料の利用、保管方法としてエンキャプシュレーションというものがある。"encapsulate"とは『カプセルに包む』とか、『大切に保護する』という意味で、具体的には不活性(長期的に化学変化が生じない安定した素材)な透明フィルムで対象を挟んでしまうもの。フィルムは周囲を熱癒着させたり、接着して袋状にし、資料自体には接着剤させないので、いつでも安全に取り出すことが可能となり、利用時にはこのフィルムに被覆されたまま本体に直接触れることなく、安全に取り扱うこともできる。例えば、表裏に印刷やイメージなどあって両面を鑑賞したい場合にも便利。

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◎エンキャプシュレーションした資料をマット装幀すれば展示にも便利。このまま額装幀することもできる。

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