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2012年9月24日 (月)

ジグゾーパズル

写真は有名な漢方医の揮毫(墨と筆を使って文字を記すこと)した診療所の看板。とても薄い絹織物を支持体として、裏打ち、額装幀したもの。幕末から明治の初期に制作されたものと思われるが、今日までの管理も良くなかったようで、劣化と損壊が著しかった。揮毫された料絹(作品本体部分)は全体の6〜7割が剥がれ落ちて一部は消失。遊離した破片もそれぞれに細かく砕け、粉の様になってしまったものも多く、元の形状が確認出来ないものばかり。ここまでの状態になってしまうともとの形状に戻すことは望めない。
今日、私たち修復家は、オリジナルの状態の保護と長期的な保存を優先し、可能な限り対象物に手を加えないことを旨としているが、どうしても人が直接手を加え、何らかの処置を施さなければならない時期や、状態というものもある。それを見極めることはなかなか難しいかもしれないが、まずは定期的な観察を怠らず、もし異常を感じたらば、ぜひ専門家に助言を求めて欲しい。

Img_20120924c


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