工房筆を選ぶ
現代の文化財修復は『ミニマム』な処置を旨としている。修復時に必要な材料、樹脂や絵の具も、可能な限り加えるものを少なくして、修復対象のオリジナリティーを保護することが最も大切なこととされているので、修復家の高い知識や技術が必要であることはもちろんのこと、施術に最適な道具を選ぶことも大切だ。
私はWinsor&Newton社のSeries7という筆を長く愛用している。この筆はシベリアなどに生息するイタチ科の動物の雄の尾の毛を使ったもので、適度な弾力性があり、筆先のまとまりが非常に良いので微細な作業に最適。私は補彩(色の欠けた部分を補う作業)や細かな隙間や亀裂、絵の具の剥離部分への接着剤の注入の際に利用をしている。
『 0 』 『 00 』 『 000 』 の3種類を良く使う。『0』の数が多くなるとより細くなる。比較まで、横に縫い針を並べてみた。筆先の細さがお分かりになるだろう。Winsor&Newton社HP<http://www.winsornewton.com/>