額縁の修復
傷んだ額はあたらしい物に交換を望まれることも多いが、高い価値の認められた額や再利用を求められる場合には修復をする。額は絵画の保存容器としての機能も託せるので、見た目の改善、修復のみならず、さらに内部の補強や改善など行うことで、納めた作品はより安全な利用や管理が望める。
最近、日本国内では、写真のように彫刻のある額縁が入手困難になってきた。古いタイプの彫刻額は木材を基礎材料として石膏を盛り上げ、彫刻して金箔を張ったり、塗装されているものが多いが、石膏は硬く頑強なようで、衝撃に弱く割れやすく、木材との接触部から剥離することも多い。
写真は彫刻の一部を失った額。健常な部分から型を採取し、ここに石膏を流し込んで失った部材を作り、欠損箇所に接合した後に塗装して仕上げる。ちょっと歯医者さんの虫歯治療にも似たような作業。
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