版画は踊る?
プレートマーク(版の押し跡)が観られるような版画作品は、印刷時に版によって押された用紙部分が他の部位よりも密度がとても高くなることが特徴(特性)となる。版画の用紙も含めて、紙は通常、外界の湿度によって膨張と収縮を繰り返すが、当然、一枚の紙の中で密度が異なれば、伸縮率にも差異が生じる。このほか、広い面積でインクがのった部分も水を吸いにくくなるので、余白の部分とは伸縮差が生じる。さらには、展示や保管環境の温度や湿度の管理が悪かったり、例えば額の内部で作品(用紙)の固定方法が悪くても、踊るようにうねり、暴れるように波打ちだす。 ◎周囲を固定されていた作品。固定されていなかった内側が大きく身長、膨張した例。
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