屏風のはなし ー屏風の数え方ー
伝統的工法によって制作される屏風は、杉の角材で組んだ格子状の骨組に和紙を貼り重ね、この上に書画を描いた料紙や織物、金箔や銀箔などを押した紙を貼った物を1単位として、紙製の蝶番で何枚かつないだ物。通常、二枚、四枚、六枚と偶数枚の構成とし、二枚の物を二曲【にきょく】、四枚を四曲【よんきょく】、六枚を六曲【ろっきょく】と呼ぶ。
何曲であろうが、それ一点で成立している場合、一隻【いっせき】と数え、2つ一組で成立する場合は一雙【いっそう】(『一双』に同じ)と呼び、数える。ちなみに、独眼竜正宗は隻眼【せきがん】。もはやご年配しか知らない時代劇のヒーロー?丹下左膳は隻眼、隻腕【せきわん】。ちなみに、『隻』【せき】は ひとつ という意味。
歴史を観ると、およそ鎌倉時代までは六曲の屏風を一隻で利用する事が一般的であったが、後に二曲や四曲、八曲(今ではまず目にすることは無いだろう)の屏風もつくられた。室町時代より二隻を単位(一組)としたものが流行り出したようである。
かつて、武士が切腹をする折には白い無地の紙を貼った四曲の屏風を後ろに置いて、ことが済んだらこの四曲の屏風で囲んだ習わしがあって、四曲の屏風を死人屏風【しびとびょうぶ】などと称して、金屏風であれ、無地の何も描かれていない四曲屏風は、縁起をかついで忌み嫌われたと聞く(必要なら二曲を二組、一雙で利用した)。
屏風は広げたところを上から俯瞰してみると、ちょうど扇を広げたようになるためか、屏風の右側の画面より、一扇【いっせん】、二扇【にせん】、三扇【さんせん】、、、。と数える。