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2010年9月27日 (月)

水ぶくれにご用心

掛軸や巻物は背面に何層かの紙が裏打(【うらうち】簡単に、作品の背面より糊を塗った和紙を貼付けて支持強化すること)されている。掛軸や巻物は、しまう時には小さく巻いて、観賞する時には平滑に広げられるのが最大の特徴で、この実現の為に、裏打には薄くてしなやかな和紙を使うと共に、接着剤の乾燥後も強ばらない様に、水で希釈したとても薄い糊(=生麩糊【しょうふのり】小麦粉から精製した澱粉糊)を使う。糊を薄めると接着能力が低下するので、貼付けた紙は刷毛で良く撫で、さらに硬いシュロの毛を束ねた大きな刷毛の毛先で裏打した紙をたたく様に打ち付け、接着の強化を図っている。上手に裏打された作品は安定した環境で、なお上手に取り扱えばそう容易く剥がれる事はないが、それでも、経年を得るごとに接着力は衰え、自然に剥離がはじまる。
薄い生麩糊と良質な和紙で裏打ちした紙は、湿らせる事で取り除くことが出来、あたらしい裏打紙と交換することが可能。適当な時期に裏打直しをする事で、作品はまた長持ちする。

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写真の様に、作品の背面に水泡状の浮き上がりができたら、剥離が進んでいる証拠。早めに専門家に観てもらって欲しい。

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