フォト
無料ブログはココログ

« カビ害に備える | トップページ | 芸術納税 »

2010年6月24日 (木)

蛇使いの女

アンリ・ルソーは独学で絵画技術を習得し、50歳を過ぎる頃に、長く勤めていたパリ市の税関を辞めて画家を志した。伝統的で、正当(多くの人がきっとそうだとうなずくような)な絵画技法から観れば、はなはだへたくそなデッサン、奇妙な情景。でも、一見子供の塗り絵のような彼の作品に私は強く引かれる。初めて実物を見たのは確か1993年の夏、パリのオルセー美術館。結構な大きさの画面に描かれた世界は、淡い月の光に照らされる鬱蒼としたジャングル。まとわりつくような湿り気、蒸れるような草木のにおいのなかに、蛇を身体にまとい笛吹く一人の女。影のように、ほとんど黒く塗られたその姿は、目だけが白く光っている、、、。そこには観る者の想像力をかき立てさせ、そしてなお呪縛する様な不思議な力を感じた。彼の作品には、技術や知識を超えた、『オーラ』と言えば良いのだろうか、言葉では語り尽くせないものを感じる。こんな作品にこそ、絵画本来の意味があるような気がする。

◎ルソーの作品は以下の展覧会で。
オリセー美術館展2010『ポスト印象派』http://orsay.exhn.jp/
於:国立新美術館 2010年5/26(水曜日)〜8月16日(月曜日)

« カビ害に備える | トップページ | 芸術納税 »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 蛇使いの女:

« カビ害に備える | トップページ | 芸術納税 »