芸術納税
少し前にイタリア帰りの修復家から聞いた話だが、イタリアでは、かつて高額脱税者の税金の取り立てに、絵画や彫刻など、いわゆる芸術作品の『物納』についての検討がずいぶんと重ねられたという話を聞いた。脱税者の中には、歴史的に観ても、学術的に観ても、きわめて貴重な芸術作品を所有する者がいて、事情を知った国の文化担当官(日本の文部科学省の様なところ?)、国立の博物館や美術館がぜひ入手、利用したいと申し出たそうだ。しかし、当の国税局は、穴の空いた国庫には実際に『お金』は入らないし、たとえ売買が成立したとしても、時の市場、需要によって相場の変動する、不確かな価値の『物納』は受け入れ難いという回答を出したという。とかく取り扱いのデリケートな美術作品は管理費用も馬鹿にならず、『お荷物』にしかならないと判断したようだ。
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