弘法は筆を選ばねばならない ! ?
アメリカのメジャーリーグが開幕した。私は名のるほどの野球が好きではないが、毎年日本人選手の活躍を楽しみにしている。シアトル・マリナーズのイチロー選手は、いつも決まったメーカーの同じ道具を使っているという。面白いのは、彼は絶対に人の道具に触れないということ、彼曰く、他人の道具を持った瞬間にその道具の感触が残ってしまうからだとか。私はそこまで敏感ではないし、根っからの新しいもの好き、好奇心も手伝って、自分が良いと思った物ならば、人が使っている物だろうが、たとえだめだと言われている物であろうが、いろいろと試したいと思う。けれど、決して何でも良いという訳ではない。
『弘法筆を選ばず』という格言がある。弘法はどんなにボロな筆を使おうが立派な揮毫が出来る言ったような意味であろうが、美しい字を揮毫できるならば、筆は選ぶべきだと思う。いいや、筆は選ばなければならない。専門家とは、それ以外の多くの人々がなし得ることの出来ない技術と知識、力を持っているのだから、それを発揮できるすべてを尽くしてこそプロフェッショナルだと思う。
補彩や細かな場所への接着剤の注入、塗布に使うために先の細い筆は修復家必須アイテム。
私はずっとWinsor&Newton社製のSeries7を愛用している。
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