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2009年12月 8日 (火)

水の話

水素と酸素の化合物H2O。『水』はいろいろなものを良く溶かす優れた性質を持った液体。私達修復家も、この性能を活かして、絵画作品や歴史資料の洗浄処置に水を利用する。時に水の中につけ込んだり、スプレーしたりして、含ませた水に溶け出した汚れをその水ごと取り除く。でも、この水は都合良く汚れだけ溶かす訳ではなくて、溶けては欲しくない絵の具やインクも溶かす。不用意に紙や繊維を濡らせば、膨張、あるいは収縮によってサイズが変化したり、変形させてしまう。水はそんな『諸刃の刀』でもあるから、利用には十分な注意、対策が必要だ。
水は通常、自然界ではH2Oの状態では存在しておらず、先述の特性から様々なモノが含まれている。カルシウム、ナトリウム、マグネシウム、、、。ペットボトルに入ったミネラルウォーターの説明書きを読めばずいぶんと色々なものが入っているのがわかる。水道水には消毒用に塩素も含まれているし、配管から金属のサビも入って来る。もちろん、日常の飲用も日々の衣類の洗濯にも、このまま使って全く問題ないが、この世に唯一無二の貴重な資料や作品を取り扱い、修復処置の後、長い年月の安定を求められる私達修復家にとっては、将来処置対象に変色や変質を来す可能性、問題のある水でもある。

Img_filter工房で使っている濾過装置。水道水から3つの装置を通してほぼ純粋なH2Oが得られる。

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