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2009年6月25日 (木)

桐箱の話

日本では、大切な掛け軸や茶道具、美術品の収納に桐材でつくられた箱を用いることが多い。桐材というのは、吸湿、透湿性が低いために、外部の湿気の侵入を防ぎやすく、乾燥した際の収縮や膨張率も小さいために反り難く、つくった収納箱の密閉した環境が保てる事から、貴重なものを納める箱や家具の材料として重宝されてきた。さらに、非常に耐火性(着火温度が420℃!!)に優れているので、古くから金庫の内部材料としても使われた。
しかし、いくら桐箱とはいえども、作りが悪かったり、壊れて虫のはいる様な隙間が空いていたり(あるいは本当に虫が食っていたり)、変型していたりすれば、この性能を期待することは出来ない。 最近は、桐材風の材料もいろいろと市場に出回り、中には表面だけ桐材の様なものを貼付けた積層材、集合材(簡単にベニヤ板の様なもの)もあり、この種の材料には先述の性能は望めないし、材料に含んだ接着剤からは、納めるものに影響を与える物質が含まれている可能性も考えられるから注意したい。

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火災被害にあった収蔵庫から救出された仏画。表装の左側に焼失痕が見られるが、作品の全焼は免れた。この作品も、当時桐箱に納められていた事が幸いしたものと思われる。

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