年中行事です
この5〜6年間、毎年の恒例の様に、年始から大きな絵画や絵図面を修復している。預かる資料は芝居の興行に使われた手書きの看板絵や王族の陵墓図、戦国時代の地域の勢力図や江戸場内図など様々であるが、広げると縦横とも3〜4メーターを越える物もあり、取り扱いにもひと苦労。普段工房で使っている大きな作業台を二台接合して修復作業に望む。
この種の大きな作品、資料のほとんどはA4サイズ程度に細かく折り畳まれるか、くるくると丸められて長く利用、保管されており、折り畳んだ物は折れ山あたりが裂け、丸めていた物は丸めて筒状になった外周は手垢で汚れ、内側は埃が堆積し、黴なども目立つ。掛軸の様に心棒がない状態で丸められた作品は不用意な扱いによって潰れ、折れ痕が発生する。さらに経年によって文字が書かれ、図像が描かれた料紙は劣化、あるいは硬化し、大きく波打っていて、全体を平滑に伸ばすことだけで丸一日ほどかかる物もある。