ドライクリーニングやっています。
町の洗濯屋さんの話ではない。修復処置の話。
私達修復家は、絵画や資料に付着した汚れを取り除く際に、水や溶剤で濡らしたりしないで、乾燥したままで行なう清掃方法をドライクリーニングと呼んでいる。これに対して、水に浸したり、溶剤で溶かすなどして汚れを除去する方法をウエットクリーニングと呼ぶ。ドライクリーニングとはまた、表面に付着したゴミや埃など、比較的に移動や除去が容易い汚れ(主に個体、固形物)を物理的に取り除く処置。実際には柔らかな刷毛で埃を払ったり、スポンジや粉末状の消しゴムで撫でて汚れを吸着させる。場合によっては、出力を調整した電動クリーナーで吸引したり、硬く固まった汚れなどは、顕微鏡をのぞきながら先の細い針やメスを使って削り取ることもある。この作業は、水分や溶剤に反応しやすい(滲んだり溶けたりする)デリーケートな作品に対して有効な処置だが、水や溶剤の利用が可能である作品にも、洗浄効率を上げる事前処置としてドライクリーニングを行い、この後にウエットクリーニングを行うことが多い。
◎油彩画の裏側をドライクリーニングしているところ。キャンバスの裏面は結構な量の埃が堆積していることが多い。