フォト
無料ブログはココログ

文化・芸術

2017年8月12日 (土)

アラーキー

東京オペラシティ アートギャラリーで開催中の『荒木経惟 写狂老人A』を観てきた。会場に足を踏み入れてすぐ、出迎えてくれた壁面いっぱいの数多のヌード写真には圧倒されながら、彼が写し取った女性たちの命の躍動感や、たくましさの様なものを感じることができた。 *開場では写真撮影が可能です。


P_20170806_130226

P_20170810_145641

P_20170810_150347

【概要】
荒木経惟 写狂老人A
会期:2017年7月8日(土)〜9月3日(日)
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
住所:東京都新宿区西新宿3-20-2
開館時間:11:00〜19:00(金・土は11:00〜20:00、いずれも最終入場は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(祝日の場合翌火曜日)、8月6日(日)(全館休館日)
入場料:一般 1,200円(1,000円)、大学・高校生 800円(600円)、中学生以下無料
※カッコ内は団体料金。

【問い合わせ先】
ハローダイヤル
TEL:03-5777-8600

https://www.operacity.jp/ag/ (東京オペラシティアートギャラリー)

2017年1月28日 (土)

裏彩色【うらざいしき】

東洋の伝統的な絵画は、薄い絹織物に描かれているものが多い。この絹織物に描画をする際は膠と明礬の混合溶液(礬水【どうさ】という)をしみ込ませ、滲み止めをしてから描くが、絵具の色をより鮮やかに見せたい場合には、濃度の高い絵具を厚く重ねたり、裏側から塗るなどの工夫をする。写真は背面から白い絵具を塗った例。背面に塗布する絵具を多くすれば織物の目(隙間)が絵具で埋まり、明るい色を塗ると表面に塗る絵具も明るく、鮮やかに見えるようになる。

Reversepaint

2016年11月 9日 (水)

模写実技

ずっとやりたかった模写をはじめた。ただ制作してもつまらないので、勉強と実験を兼ねて黄金テンペラの技法を使って支持体をつくり、背景に金箔を貼って中央にダヴィンチのモチーフ(大天使ガブリエル)を模写してみた。仕事以外で絵具を使ったのも久しいし、白亜の下地づくりや金箔の背景をつくるのも結構面白かった。

Vinchi02 Vinchi03 Vinchi04 Vinchi06

支持体はシナ材のランバーコア(合板)を芯に、表面に薄手のキャンバスを膠で貼り、その上に何層も膠で溶いた白亜(炭酸カルシウム)を塗り重ね、真っ平らに削ってボーロ(金箔下地材)を塗り、金箔を使った背景をつくった。過去に漆箔による金箔押しは幾度となく経験しているが、金箔押しは何度やっても難しい。大小様々に裁ち落とした(余った)金箔を使ったので、多少雑な感じも『味』として受け入れることにする。

ダヴィンチの作品も見れば見るほどに手が込んでおり、同じようにはマネできない。所有していた画集の写真解像度も悪かったし、私の技量ではここまでということにして、次回はどんな作品の模写をしようかと思いを巡らせるのもまた楽しい。

2016年8月 2日 (火)

森鴎外『舞姫』自筆原稿

森鴎外の作品に初めて出会ったのは高校生の頃。もう、私にとってはずいぶんと昔の話になるけれど、国語の授業の課題で『舞姫』を読まされて、慣れない古い文体と格闘しながらレポートをまとめた。そこそこ歳を取った今ならば、時代の風情も感じことができるが、当時は読みにくかったことばかり覚えている(苦笑)。

8月の1日より、文京区立森鴎外記念館でこの『舞姫』の原稿が展示されている。117年前にかかれたこの自筆原稿は、一般に公開、展示されることも初めてだという。今回同時に展示される『文づかひ』原稿には、鴎外と親交のあったと言う画家、原田直次郎のデザインした表紙も添えられており、大変興味深い展示会となっている。鴎外ファンの方、ご興味のある方はぜひ足を運んでほしい。

文京区立森鴎外記念館

〒113-0022等強と文京区千駄木1-23-4

Tel : 03-3824-5511

URL : http://moriogai-kinenkan.jp


20160802

2016年6月24日 (金)

和紙文化研究会 『和紙文化パネルworkⅢ』に参加して

私の工房の書棚には『レンブラントと和紙』という一冊の本がある。17世紀の西洋画壇を代表する巨匠レンブラントが、日本からオランダ東インド会社によって輸入された和紙を自らの版画制作に利用していたというのは、昨今、専門家の間ではよく知られたことかと思うが、当初は遠い未知の世界から渡来した紙のモノ珍しさから使ったかもしれないし、当時のヨーロッパの紙(多くは使い古したオムツなどのぼろ布から繊維を作って制作していた)から比べると、薄く、しなやかで、白く、地肌も美しかったろうから、きっと芸術作品の材料素材としても認められたのだろう。今日でも和紙を版画制作に用いることは少なくないが、厚手の洋紙は高圧力で印刷をしなければならない一方、薄手の和紙に版画をつくる場合には、低圧力で綺麗な印刷ができるという利点も、当時すでに経験していたのではなかろうか。すこし前にオランダに赴き、オランダ東インド会社の関係資料の調査をしたという修復家仲間の話では、当時、日本の和紙は版画など特定の用途に利用されていただけではなく、オランダ東インド会社の職員が日誌や商品の管理記録、出納記録などに用いられていたようだ。旅先で入手のしやすい紙を利用することも肝心だったろうが、使いやすさも良かったに違いない。

かつての日本家屋の中には、襖や障子などの建具はもちろんのこと、提灯などの照明器具、衣類を包む収納容器(たとう)、傘にも和紙が使われてきた。私の工房でも、毎年結構な量の手漉き和紙を消費していて、損傷箇所の修理に利用するのはもちろんのこと、掛軸や巻き物に表装するための裏打ち紙として、屏風や襖の下張り材料として、様々な場面で和紙を利用している。

以前にこのコラムのなかでも、西洋の装幀(額装)と日本の表装の違いについて少し記したが、日本の掛軸や巻き物などは、和紙を介して装幀部分を一体化して、一つのシート状にするのが大きな特徴。今回、研究会の会場で配布された和紙文化研究会が発行する『和紙文化研究 第23号86頁』のなかには、朽見行雄 氏がジャック・デリダの著書をあげて、ヨーロッパ絵画における額縁が、作品にとって単なる付属物以上の意味をもっていると論じているが、独特の装幀様式を持つ日本の表装は、容易に作品と分離できる西洋の額縁とは異なり、確かに装幀部分も切っても切れないものとなっていて、この縁の下の力持ち、立役者こそが和紙となっている。

近年では海外の修復家にも和紙の高い性能が理解され、色々な場面でたくさん利用される様にはなったようだが、今回の講師の一人であった増田勝彦 氏のお話では、伝統的な製法で一枚一枚人の手で漉かれる和紙そのものの価値も、文化的な価値も、今も海外ではなかなか理解されていない様子。最近の海外の修復家の中には、和紙はいらないから楮の繊維だけ欲しいという者さえ現れ始めたという。

そして、日本を振り返れば、昨今の日本の生活様式は欧米化の一途をたどっていて、かつての伝統的な日本家屋は都市部では希少か、私の住む都下でもとても珍しくなった。かくいう私の住まいも、数年前に一部を改築して、唯一あった畳の部屋が無くなり(襖と障子は上手く残した)、このとき施工をしてくれた友人の大工は、最近は伝統的な日本家屋や和室をつくろうという人も少なくなったと言っていた。もはや床の間などというものも希少な存在になり、季節ごとに書画を掛け替えて楽しむようなことも出来ない。

けれど、こんな状況の中でも日本のコアな文化に触れ、理解することを目的として、海外より来訪する者も急速に増えてきた様子がニュースやTVのバラエティ番組で紹介されている。日本のアニメやアイドル、オタク文化とか、サブカルチャー的なモノに憧れる者も多い様だが、日本の伝統芸能や武道、文化に興味を持ち、リスペクトしている人も少なくない様だ。彼らはインターネット、SNSを駆使して情報を収集し合い、得た情報はまた公開して仲間を集め、楽しんで理解を深めている。いつかこの来訪者達が、また私たち日本人に日本の伝統文化の素晴らしさを再認識させてくれるかもしれない(ちょっと複雑な思いがするけれど、、、)。

私自身、過去に版画制作(主にリトグラフ)の制作経験を持つが、当時は和紙を使う機会はなかったのが残念。

もう少し年を取って、暇になったら、今度は和紙を使って版画を制作してみようか。

◎レンブラントと和紙  貴田庄 著 2005年八坂書房  ISBN4-89694-853-X

◎絵画における真理〈上〉 ジャック•デリダ 著 法政大学出版局; 新装版 2012/11(叢書・ウニベルシタス)

ISBN-10: 4588099612 ISBN-13: 978-4588099618

◎和紙文化研究会 <http://washiken.sakura.ne.jp>

2016年3月28日 (月)

安田靫彦展

親しい友人らと安田靫彦展に出かけた。彼は大正から昭和に活躍した日本画家で、日本の歴史、古典を題材にした傑作を多く残している。今回の展覧会では、14歳で画家を志し、本格的に活動をはじめる20代から最晩年までの作品を鑑賞することができる。安田作品の特徴であるしなやかで揺るぎのない描線、軽やかで美しい色彩にはきっと多くの人が魅了され、80歳を過ぎてもなお衰えを感じさせない筆勢には驚かずにはいられないだろう。

私が最も見たかった風神雷神図(二曲一双屏風)は、有名な宗達や光琳のそれと比べれば、なにもかもが簡素化されていて、一見してとても静謐な印象となっているのだが、じっと眺めていると、その中から妖気の様なモノが沸き立つ様。安田靫彦が絵画に求めた精神性を感じ取ることができる一枚かと思う。

◎安田靫彦展

於:東京国立近代美術館 2016年3月23日から5月15日まで。
この美術館は北の丸公園の一角にあり、そろそろ桜も見頃になるだろう。 ぜひ、合わせてどうぞ。

2015年11月15日 (日)

公開シンポジウムのご案内

本年12月19日に、東北歴史博物館(宮城県多賀城市 )において公開シンポジウムが開催されます。
このシンポジウムは、先の東日本大震災によって被災し、救出、修復された文化財のその後に注目し、文化財と地域復興の関わりや、地域再生のための活用方法などの発表会、討論会となります。
開催日:2015年12月9日 13時〜16時25分(開場12時)
場 所:東北歴史博物館(宮城県多賀城市 JR東北本線国府多賀城駅隣)
定 員:280名 参加費無料 (ただし事前の申し込み必要)
主 催:一般社団法人 文化財保存修復学会
お問い合わせ先:022−368−0106(東北歴史博物館上方サービス班)

20151115simposium

20151115simpo02

2015年7月20日 (月)

涼を求めて美術館へ

いよいよ東京も梅雨明け。休日に自由な時間が出来ると、愛車チネリ号でサイクリングをするのが楽しみだが、ここ数日は猛暑を避けて(めげて)おとなしく仕事をして過ごしたり、家族の買い物にお付き合い。

都心で涼を求めるならば、美術館でゆっくりと過ごすのもなかなか良い。現在、東京日本橋の三井記念美術館では、浮世絵版画の展覧会が開催中で、写楽や広重など、名だたる作家の重要な作品も並ぶ。

今ちょうど、工房に浮世絵版画が持ち込まれているが、展覧会場の作品のコンディションの良さには驚かされた。きっと、滅多には見られない作品も展示されているので、興味のある方はぜひお運びいただきたい。

Img_philadelphia01

三井記念美術館特別展

錦絵誕生250年 フィラデルフィア美術館浮世絵名品展

『春信一番! 写楽二番!』

2015年6月20日~ 2015年8月16日

三井記念美術館HP <http://www.mitsui-museum.jp>

2014年11月13日 (木)

三菱一号美術館

東京、丸の内の三菱一号美術館で開催中のボストン美術館ミレー展を観てきた。この美術館は明治27年にジョサイヤ・コンドルが設計したもの。昭和43年になって老朽化のために一度解体され、40年の歳月を経て再現しされた。コンドルに師事した辰野金吾は東京駅の設計者として有名。私たち修復家の目から見れば、それがオリジナルでない限り『新しいもの』としてみてしまうのだけれど、近年の丸之内周辺の再開発は、歴史と文化を再認識する機会も与えてくれるのかもしれない。

実はこの美術館、会館当初からずっと関心を持っていたのだけれど、今回が初めての訪問。館内は思ったよりも展示室が多く、ミレーとバルビゾン派の作品をゆっくりと堪能してきた。

Mitsubisimuseum

19世紀、イギリスのクイーンアン様式の建物は東京駅舎とも共鳴している様に思う。

平日だというのに、朝からたくさんの人でにぎわっているのには少々驚いた、、、。

ボストン美術館ミレー展は2014年10月17日から2015年1月12日まで

◎三菱一号美術館サイト:http://mimt.jp

2014年9月10日 (水)

和紙文化研究会からのおしらせ

「和紙文化研究会」は1993年以来、毎年東京で和紙文化講演会を開催。今年度は開催場所を福井県越前市に移し、福井県和紙工業協同組合と共同で、11月に第22回和紙文化講演会、記念展覧会「和紙の姿展〜Echizen和紙を創作する〜」と紙漉工房を自由に見学できる「産地見学会」を3本柱とする「和紙文化in越前」を開催する。(和紙文化研究会サイト紹介文章より抜粋)

なお、日程などの詳細、申し込み方法については以下にアクセスしてください。

<http://washiken.sakura.ne.jp/admission/>

より以前の記事一覧