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2016年12月18日 - 2016年12月24日

2016年12月24日 (土)

掛け軸、巻物、表装の寿命

掛け軸や巻物は、薄い料紙(画用紙)や料絹(絵絹)の背面に和紙を何層か貼付けて強度を上げ、一枚のシート状になっている。背面に和紙を貼付けることを『裏打ち』と呼ぶが、この裏打ちは小麦粉から出来た澱粉糊によって接着されていて、この接着剤は経年によって劣化し、次第に接着力が低下して、いずれは裏打ちした紙も剥がれてくる。

裏打ち紙から遊離して、補強を失った薄い料紙や絵絹は湿度の影響などで自由に伸縮し、たわんだり歪んだりし、この状態で、うかつに掛け軸や巻物を巻いたり広げたりしていると、皺や折れが発生し、症状が進むと亀裂や破損にいたり、折れた箇所は絵の具も剥がれやすくなってしまうので注意が必要だ。

伝統的に表装作業の現場で長く使われてきた接着剤は、巻いたり広げたりを繰り返す掛け軸や巻物の裏打ち、表装作業には無くてはならず、経年を経ても水分を加えることで、安全に作品から裏打ち紙を取り除けることも出来る優れたものではあるが、その耐用には限りがある。耐用年数は保管環境や使い方にもよるが、裏打ち紙が剥離をはじめたら、修理が必要な時期と理解して、専門家に預けてほしい。
Img_4319
裏打ち紙が剥離し、料絹が浮き上がった状態で巻かれた作品。折れ皺が発生している。
Img_4340
同じ作品の背面。水泡上に裏打ち紙が浮き上がっているのがわかる。こうなったら、出来るだけ速く処置したい。

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